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貧民夜想會 旧館


2008年07月02日 [長年日記]

_ [book]黒山もこもこ、抜けたら荒野 デフレ世代の憂鬱と希望

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日経ビジネスオンラインの書評を見て購入。推奨マークがついてました

1970年生まれの著者の自分語りに社会評論を織り込んだスタイルで、個人的経験と評論をうまくまとめていて、話がやや散らかりながらもうまく評論しているところがよかった。サブタイトルに「憂鬱と希望」とあるけれど、憂鬱の度合いが高い

わたしは彼女と同年代で、経験してきた時代と事象には非常にリアリティがあったし、それをこれだけまとめられた筆力はすごいと思った

本の最後に彼女は

私たちが子どものころ、日本は常に黒山の人だかりであふれていた。だがそれはせいぜい足を踏まれたり迷子になる程度の「数の暴力」であった。

では、現在、どういった「黒山」が数の猛威をふるっているのか?

と書いているのですが、ぜひこの先の論考をしてほしかった。それは次回に期待したいです

でも結局、その「過渡期を生きた人間の困惑」は、上の世代にも下の世代にもわかってもらえないんだろうな。わかってもらう必要はないのかもしれないし、わかってもらったところでなんにもならないんだろうけど

著書の内容とは関係ないところで、彼女は幸せな人だなと思ったところがある 1つは163ページの

中学生だった私は、相模原の僻地から、片道九〇分以上かけて渋谷や池袋に通った。なぜなら、そこにはパルコがあったからである。

というくだり

たとえ九〇分以上かかったとしても、新幹線や特急を使わなくても行けるところに渋谷や池袋やパルコがあったというだけで、この人は幸せだと思ってしまった

あともう1つ、これはわたしの勝手な思いこみだけど、彼女は東京郊外の生活者であるがゆえに「上京した田舎の秀才の埋没と挫折」を味わうことはなかったんだろうな、という点

現実には「郊外」も「田舎」も大して違わないんだろうけど、田舎者であるわたしには、この差異はすごく大きく感じるのよ

_ [book]心にトゲ刺す200の花束—究極のペシミズム箴言集

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友人から借りたもの

わたしは母から「なんでお前はそんなに厭世的なんだ」と言われるくらい、昔から厭世的でした

しかし、最近厭世的でいることにも疲れるようになったんだよ

かといって、ポジティブでいることはそれ以上に疲れるしね

そういう「ネガティブも疲れるけどポジティブも疲れる」というわたしには良い本でした

単にネガティブに疲れているだけじゃなく、「ネガティブな自分を笑い飛ばす」ことができたのは貴重かも

個人的に気に入った言葉をいくつか

どうして自分で自分を苦しめたりするの?

どうせ人生が苦しめてくれるのに(ローラ=ウォーカー)

生まれてから十八歳まで、女に必要なのはよき両親、

十八歳から三五歳までは美しさ、

三五歳から五五歳までは性格のよさ。

そして五五歳以降には現金が必要になる。(ソフィー=タッカー)

この世は

考えるものにとっては喜劇であり、

感じる物にとっては悲劇である。(ホラス=ウォルポール)

いまの経済状況では

あらゆる光明の後ろに暗雲がたれこめている。(「ビジネス・ウィークリー」1992年3月9日の見出し)