2009年11月25日 この日を編集
_ [book]《書評》やり過ぎないことも大事〜自分をすり減らさないための人間関係メンテナンス術
この本のオビには「「前向きに」って、疲れませんか?」「ほどよく、生きよう!」と書いてあります。ここから推察されるように、前向きな本ではありません。人間関係に限らず、最近はなんでも積極的に解決していこう、と主張する本が多い気がしますが、そういう中で異色の本だと思います
やりたいことをうまく実現させるためには、「様子を見る」「無理をしない」ことも必要で、大事だということです。
とか
大きなトラブルになるのを防ぐためには、途中で休んだり、逃げたり、ちょっとした嘘をつくことも大事なのです。
と主張する本は、あまりないのではないでしょうか
実際「いつでもポジティブ、ネガティブなのは許せない、物事はアグレッシブにやってナンボ」という考えの人が読むと「こんな暗くて後ろ向きでいいのか!」とか「前向きなのが悪いことなはずがない、後ろ向きなことがいいわけない!」とか「こんな考え方は受け入れられない!」などと思われるかもしれません。実際著者もあとがきで
私自身、この「メンテナンス術」という方法が、どんな人にも、どんなときにでも、役に立つとは思っていません。…ただ、時にはこの考え方が役に立つこともある、くらいに思っていただければうれしいです。すくなくともいまの私自身は、この考え方をするようになって楽になりました。
と書いています
わたしはこの本の考え方は自分に合っていると思いました
言うまでもないことですが、人間関係はとても大事です。どんなに好きな仕事でも、人間関係のために諦めてしまったなんて話はよくあるし、逆に人間関係がよければ、つらいことでも乗り越えられるかもしれない
でもだからこそ、人間関係に対して一歩引いた視線や姿勢が必要なんではないかとも思うのです。これは人間関係に限らず、仕事でもそうだと思う。それに溺れてしまわないためにも、一歩引いた視線・姿勢はどんな場合でも必要なのではないでしょうか。こういう事を意識するきっかけとして、この本は良かったと思います。
この本で特に印象的だったのが「自分取材」と「自分法人」という言葉です
「自分取材」は今ある自分を知るための方法で、どこかにいるかもしれない自分を探す「自分探し」ではありません。著者は「自分探し」はすすめていません。今ある自分の中でも、特にネガティブな自分を知ることが重要だと言います。ポジティブな視点だけでなくネガティブな視点からも自分を見ておかなければ、自分を知ることができないから
自分取材はどこかでやってみたいと思います
「自分法人」は自分を「法人(組織)」として考え、「自分法人」が「他人法人」とどうつきあっていくかを考え、人間関係をメンテナンスしていく、という考え方です
はっきりいって、万人向けの本ではないです。でもわたしは、自分を長持ちさせるための考え方を知ることができてよかったと思う
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わたしはこの本の著者とちょっと変わった出会い方をしています。著者の名前を本で見て、実際に文章を読むまで十数年の時間があったのですが、こういう縁もあるものなのだな、と思います。彼女の文章は、これからも読んでいきたいと思います
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